2024.12.25 SE構法
SE構法の構造計算について
今回は、構造計算に纏わる様々なお話をご紹介します。
構造計算の3つのグレード
住宅の構造計算には3つのグレードがあり、その中でも許容応力度計算は最も安全性が高い手法です。
(各構造計算の特徴は以下の通りです。)
日本の木造2階建て住宅の約80%は、許容応力度計算を実施していないとされています。
【許容応力度計算】
全ての項目を詳細に計算するため、最も信頼性の高い計算方法です。
【性能表示計算】
仕様規定には含まれていない床倍率の計算が行われます。これは非常に重要な項目です。
ただし、柱、横架材、基礎の構造設計は行われておらず、規格サイズの部材を使用しています。
【仕様規定】
水平構面、横架材、基礎の検討は行われていません。その他の項目についても簡易な計算に留まります。計算方法が異なっていても、完成した住宅の安全性は同じだと考えていませんか?
最も簡易な計算方法である「仕様規定」に基づいて構造を判断した建物は、「性能表示計算」の基準を満たすことができません。
それどころか、「性能表示計算」の3段階のうち最も低い耐震等級1ですらクリアできないのです。
それにもかかわらず、現在も仕様規定による建物が次々と建てられています。
建築基準法で定められた仕様規定
一般の方は「建築基準法」という法律やその名称に対して、絶大な安心感を抱いてしまいがちです。
しかし、国が示しているのは「最低限の基準」であり、「基準は設けるけれど、自分の命は自分で守ってください」という自己責任のスタンスです。
そのため、早急に法律を改正し、誰もが安心して暮らせる家の基準を作ることが求められます。木造住宅を地震に強く、安全で丈夫にするためには、「許容応力度計算」を用いて壁量、部材、地盤、基礎の検討を行うことが重要です。
しかし、さらに注意が必要なのは、「許容応力度計算」を行っただけでは地震に強い家が確実にできるわけではない、という点です。たとえば、以下のような点が適切に検討されている必要があります。
・地盤が適切に補強され、信頼できる改良方法で施工されているか。
・基礎が改良された地盤や建物と一体化し、構造計算に組み込まれているか。これらの要素はそれぞれ独立していますが、全てを同時にしっかりと検討・検証しなければなりません。
この問題を包括的に解決できる構造、それが「耐震構法SE構法」です。
SE構法の構造計算について
従来、鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を、日本の木造住宅に取り入れたのが「SE構法」です。
SE構法は、柱や梁そのものを互いに剛接合し、強固な構造躯体をつくり上げる木造ラーメン構法です。
SE構法は、許容応力度計算(ルート1ではなく、ルート2相当)による構造計算を実施しています。(※これは在来工法との大きな違いの一つです。)
具体的には、まず建物にかかる鉛直荷重(建物そのものの重量と積載荷重)、風荷重(強風時の圧力)、そして地震荷重の3つの要素について綿密に検討を行い、建物の各部を立体的に応力解析します。
この解析結果に基づき、建物の各構造部材や耐力壁、さらに柱や梁の接合部が安全であることを確認します。
また、強風や地震時の層間変形角(傾斜角)、耐力壁の偏り(偏心率)、上下階の強さのバランス(剛性率)、
そして大地震時の安全性も併せてチェックしています。
このように、木造住宅において鉄骨造やRC造と同じく、立体解析による構造計算を全棟で実施している点が、SE構法の大きな特徴です。